昨年はショパン国際ピアノコンクールがあり、今年はヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール、とピアノ好きにはたまらない楽しみが多くありますね。ショパン国際ピアノコンクールではYouTube配信されていたので寝不足になった人も多いのではないでしょうか。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールも配信がありますよ。(後述)
6月2日に開幕したヴァン・クライバーンですが、今年で16回目を迎えます。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールとは
歴史と位置づけ
数ある国際ピアノコンクールの中で、世界三大コンクールと呼ばれているものがあります。「ショパン国際ピアノコンクール」「チャイコフスキー国際コンクール」「エリザベート王妃国際音楽コンクール」です。そして、次に上がるのがこの「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」と言われています。
テキサス州、フォートワースで4年に1度行われているコンクールですが、冷戦中のソ連で開催された第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝したアメリカ人「ヴァン・クライバーン」の名を冠し、その優勝からわずか4年後の1962年に創設されました。当時のヴァン・クライバーンは27歳であったことからもアメリカ人のヴァン・クライバーンに対する尊敬度・重要度が分かります。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの特徴は、入賞者には3年間のマネジメントがつき、コンクール直後からプロとして活動の場が用意されていることです。これが「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝したらコンクール生活を卒業するきっかけ」と言われる理由の一つでもあります。
気になる賞金
優勝者には5万ドルの賞金が出ていましたが、2020年に増額が発表され、倍の10万ドルになりました。(1,350万円/1ドル125円計算)
国際ピアノクールの賞金ランキングは
- 中国国際音楽コンクール 優勝賞金:15万ドル(1,875万円/1ドル125円計算)
- ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール
- ホーネンス国際ピアノコンクール 優勝賞金:10万カナダドル(1,000万円/1カナダドル100円計算)
因みに3大ピアノコンクールの優勝賞金は
- ショパン国際ピアノコンクール 3万ユーロ(420万円/1ユーロ140円計算)
- チャイコフスキー国際コンクール 3万ドル(375万円/1ドル125円計算)
- エリザベート王妃国際音楽コンクール 2.5万ユーロ(350万円/1ユーロ140円計算)
となっているので、コンクールの知名度や権威と賞金は必ずしも一致しないこともあるということですね。
日本人の実績
2009年に辻井伸行さんが優勝しました。
2022年開催の概要
予備予選にコンクール史上最多となる388人が応募しました。そこから72人がふるいにかけられ通過し、その後事前審査が3月に行われ、6月2日に始まる予選に出場できるのはたった30人です。
日程(現地時間)/日本時間
6月2~4日 / 日本時間6月3~5日:予選 30人
6月5.6日 / 日本時間6月6.7日 :クォーターファイナル 18人
6月9~12日 / 日本時間6月9~13日:セミファイナル 12人
6月14.15日、16.17日 / 日本時間6月15.16日、18.19日:本選(ファイナル) 6人
6月18日 / 日本時間6月19日:表彰式
なお、本日の段階で日本人参加者2人(亀井さん、田所さん)がセミファイナルへの出場が決まっています。
6名のファイナル出場者が発表されたので追記しました。
さらに、最終結果が発表になりましたので、追記します。
- 金メダル:韓国 ユンチャン・リム(18歳) 10万ドル(1,350万円/1ドル125円計算)
- 銀メダル:ロシア アンナ・ゲウゲニシェン(31歳) 5万ドル(625万円)
- 銅メダル:ウクライナ ドミトロ・チョーニ(28歳) 25,000ドル(312万5,000円)
そしてマルセル田所さん、審査員長特別賞おめでとうございます。
若干18歳ながら圧巻の演奏のリムさん、日本でも人気の高いアンナさん、後述の配信サイトから是非聴いてみてくださいね。
今年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールに出ている日本人
亀井聖矢さん
日本国内で最も権威があると言われているのは「日本音楽コンクール」ですが、第88回大会(2019年)17歳で優勝しています。また、国内コンクールでは日本音楽コンクールと同じくらい有名な「ピティナピアノコンクール 特級」がありますが、第43回大会(2019年)17歳でグランプリを獲得しています。この二つのコンクールでのダブル優勝は30年ぶりの快挙と言われています。(30年前に快挙を達成された人を調べましたが残念ながら出てきませんでした)
吉見友貴さん
吉見さんも亀井さん同様「日本音楽コンクール」で優勝されています。第86回大会のことです。「最年少優勝者」となりました。高校2年生の時ですので吉見さんも16.17歳での優勝となりますね。その後、2020年にアメリカの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」に出場し、セミファイナリストとなりました。世界で12位以内ということです。
マルセル田所さん
1993年福岡県生まれ、名古屋市菊里高校音楽科を卒業し、その後パリ国立高等音楽院→パリ・エコールノルマルを卒業しています。日本語はペラペラですが、国籍はフランスです。
2018年浜松国際コンクール、2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール、2021年ショパン国際ピアノコンクールの予備予選にも出場されています。
配信
こちらのサイトで参加者の演奏が聴けます。気になるピアニストの演奏を聴くもよし、順に聴講するもよし、お楽しみください。