ピアノのコンクールに参加されたことがある方は「ピティナ」という名前をきいたことがあるのではないでしょうか。今回はピティナピアノコンペティション(以下:ピティナ)の中でも最高峰の特級にフォーカスしてお伝えします。
2022年結果
グランプリ:北村 明日人さん
神戸市出身。第9回ショパン国際ピアノコンクール in Asia アジア大会金賞。ピティナ・ピアノコンペティション全国大会にて銅賞、ベスト賞受賞。2019年、東京音楽コンクール第2位。2020年、Rahn Musikpreis(スイス)第1位。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経てチューリヒ芸術大学音楽学部及び大学院ソリストディプロマ卒業。東京芸術大学大学院修士課程に在籍。
銀賞:神宮司 悠翔さん
第44回ピティナ・ピアノコンペティション全国大会G級銅賞。第45回ピティナピアノコンペティション全国大会Pre特級入選。第10回福田靖子賞選考会第3位。第20回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAコンチェルトB部門アジア大会銅賞。第23回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA プロフェッショナル部門最終審査銅賞。第73回全日本学生音楽コンクール東京大会ピアノ中学校の部第1位全国大会第2位。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校2年在学中。
銅賞:森永 冬香さん
2002年生まれ。全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会入選。ピティナ・ピアノコンペティションJr.G級、Pre特級全国大会入選。Imola Piano Award 2019 Aカテゴリー(17~25歳) 第2位。東京芸術センター記念ピアノコンクール銀賞(金賞なし) 。Imola Summer Piano Academy(イタリア)、浜松国際ピアノアカデミー2021に参加。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学3年在学中。
入賞:鶴原 壮一郎さん
第38回ピティナ・ピアノコンペティションC級全国大会銀賞。第72回全日本学生音楽コンクール北九州大会高校生の部第1位、全国大会入選。(公財)アルゲリッチ芸術振興財団賞受賞。霧島国際音楽祭にてダン・タイ・ソン氏のマスタークラス受講。第1回ラフマニノフ国際ピアノコンクールJAPAN.F部門第1位及びグランプリ。第18回ありあけジュニアピアノコンクールグランプリ。第5回ベートーヴェン国際ピアノコンクールアジアD部門第1位及び横浜シンフォニエッタ賞、テアトルフォンテ賞他。第7回下田国際音楽コンクールプロフェッショナル部門第2位。第41回飯塚新人音楽コンクール第1位。東京藝術大学ピアノ科2年在学中。
ピティナ・ピアノコンペティションとは
略して「ピティナ」と呼ばれています。予選が5月末から始まり、8月の全国大会まで未就園児から特級参加者までピアニストにとっては熱い熱い夏です。
過去のピティナでは、
- 角野隼人さん…42回(2018年)特級グランプリ
- 小林愛実さん…2004年 Jr.G級(16歳以下)に8歳で出場し、一位。
など、ショパンピアノ国際コンクールに出場される方も出場される、日本ではとてもメジャーかつハイレベルなコンクールの一つです。難易度や賞の取りやすさなど、いろんなコンクールがあります。が、幅広い年齢が出場できる中では、
最高峰の全日本音楽コンクール(全日本学生音楽コンクール)>>>ショパン国際ピアノコンクールin Asia ≒ ピティナ
と、難易度は高いコンクールだと思います。
ピティナ特級
いろんな級がありますが、ピティナ特級は特別なものです。
出場するには
- 過去にピティナに出場したことがあること
- 音大・音高に在学中か卒業(そうでない場合は予備審査が必要)
参加資格がすごい高いわけではないのね?
しかし、実際はとてもレベルの高い人ばかりです。
その前にpre特級、G級、jr.G級とありますが、「Jr.G級の参加資格は高1(15歳以下)でピティナD級以上で地区本選で優秀賞以上(それに準じる賞)で参加することができる」とあります。
D級のレベルは?
参加資格は中二以下で、課題曲はバッハのシンフォニアや、古典派のソナタ、ショパンのエチュードレベルを弾きます。課題曲だけでも相当なレベルですし、その中で地区本選で優秀賞はとてもハードルが高いです。
中2でショパンのエチュードですか。ハイレベルですね。
特級での年齢制限はないのですか?
特級では年齢制限を設けていないのが特徴です。過去を振り返ってみると、2021年に最年少でグランプリが誕生しました。野村友里愛さん、15歳です。
また、2005年には42歳でグランプリを獲得した金子一朗さんがいます。彼は早稲田高校の数学の教師でもありました。
各審査
- 一次予選(動画)(6月中旬)
- 特級二次 (7月下旬)…出演者25名
- 特級三次 (7月下旬)…出演者10名
- セミファイナル (8月中旬)…出演者7名
- ファイナル (8月中旬)…出演者4名
と続きます。とてもハードなスケジュールです。
当たり前ですが、このハードスケジュールをこなすだけの体力が必要です。とてもスケジュールが詰まっています。
課題曲
- 一次予選…古典のソナタ(ハイドン・モーツアルト・ベートーヴェン)、リストからリゲティ(ショパンを除く)のエチュードで15分~25分
- 二次予選…ショパンのエチュードを含む25~35分以内のプログラム
ショパンのエチュードは1曲2,3分で終わるのでその他は自由なのが二次予選の特徴です。参加者が自由にプログラムを組むことができます。言い換えると、選曲が最も難しいです。
- 三次予選…ファイナルで弾くピアノ協奏曲から1部分をピアノ伴奏で演奏する
二次予選が終わったその日の夜に結果が通知され、その次の日には公式伴奏者とのリハーサルがあります。その次の日には本番です。
- セミファイナル…45分以上55分以内でのプログラム
- 邦人曲については三次予選通過者に楽譜を提供
- ファイナル…指定のピアノ協奏曲
賞金・副賞
- グランプリ(1位)…140万円
- 2位(銀賞)…70万円
- 3位(銅賞)…40万円
- 4位(入賞)…20万円
【聴衆賞】
- 1位…120万円
- 2位(銀賞)…60万円
- 3位(銅賞)…30万円
- 4位(入賞)…15万円 (各金額は2022年のもの)
その他、クラウドファンディングで支援者から募った賞金が出る「サポーター賞」や海外を含む演奏の機会が与えられます。
また、過去にはスタインウェイ賞というものもあり、グランプリ受賞者にSteinway & Sons 1台を1年間無償貸与されたことがあります。かてぃんこと、角野さんはこのピアノが気に入り、無償貸与の後買い取ったそうですよ。
まとめ
各演奏はピティナのホームページから演奏を聴くことができますよ。
是非、素晴らしい演奏をお楽しみください。